『史上最大のショウ』
 業界の中で今、最も注目されている葬祭ディレクターの宇佐美に、黒柳徹子さんから彼女の生前葬が発注された。これまで「徹子の部屋」七千回「トットちゃん」七百万部、そしてアフリカには学校まで建てている。いったい誰が参列し、どれだけの規模の生前葬になるのか?

 どういうわけか葬儀が好きなんです。なにげに葬儀にまつわる話が『メトロ』にはたくさんあったりします。さらに、葬儀屋さんの話もやりたいなあ、と思ってはいたのですが、普通の葬儀屋さんではおもしろくない。葬式のドタバタなんて、すぐに芝居になってしまいますから、私があえて短編でやらなくてもいいんです。葬儀にまつわる事を調べていると「生前葬」というのがたびたび目につきます。どうして死んでしまったら誰かが勝手にやってくれる事を、生きている間に自分でやらなければならないのか? 不思議でした。でも、ある人が「あの人は本当は優しい人で・・」と自分が嫌いな人がコメントしていたら、死んでられないから生前葬をやるんだ。と言っていて、ああ、そいういことか、と思いました。なんだかんだ言っても、死んでしまった者よりも、生きている者の勝ちですからね。でも、どうせ「生前葬」をやるなら、想像もつかない「生前葬」がいいなと思ったので、徹子さんです。黒柳さんとか、永六輔さんとか、小沢昭一さんとか、あのへんの人達ってすごく憧れるんですよ。大先輩って感じで。ちょっと下の世代だとおすぎとピーコさん。ジャンルがちがうかもしれないけど、美輪明宏さんとかね。この人達がなんらかの形で登場する芝居って作れないものかと思っています。だって、そんな演劇みたことないでしょ? 実は『おすぎとピーコを讃える話』というのは準備しています。あのお二方の名言を舞台上で二人が一つづつ披露するというものです。タイトルは『あんたの家にもしも長い廊下があったなら、トンボを切りながら呪ってやる』といいます。これは実際におすぎさんが口になさった言葉です。そういった名言を厳選したいので、5年後くらいにはお披露目できると思います。